【日本発!メルロー×ピノ・ノワールの開発新品種!】『ソワノワール』の特徴とは?
みなさま、「ソワノワール」というブドウ品種をご存じでしょうか?

「ソワノワール」は山梨県の果樹試験場で、欧州系品種である「メルロー」と「ピノ・ノワール」を1992年に交雑、選抜することで開発された新品種です。
この品種から造られたワインが24年3月の日本ワインサミットで初披露されました。
1992年の交雑から始まり、厳しい選抜の末、30年以上の時を経てお披露目された「ソワノワール」について紹介していきます。
ソワノワールの特徴は?
ソワノワールはワインの色が濃く、味わいが絹のようになめらかであることから、フランス語で「黒い絹」という意味で命名されました。
本品種について、山梨県果樹試験場の担当者様にインタビューしたところ、以下の通り情報提供をいただきました。
・標高440mの山梨県果樹試験場での栽培において、成熟期は8月下旬で「メルロ」と比較して9日程度早く、同じく果樹試験場で育成した「ビジュノワール」より4日程度早い。
・着粒密度は中~密で、裂果の発生はみられない。
・果房重は垣根仕立て栽培で190 g程度で「メルロ」よりやや小さい。棚仕立て栽培では果房重が約280 gとやや大きい。
・ポリフェノールの一種である「アントシアニン」含有量はメルローの2倍以上。
・管理労力および病害発生に関してはメルローと同程度である。
・山梨県果樹試験場においては、果汁糖度は19°Brix、総酸含量は7 g/L程度。
・ワインは色が濃く、適度な渋みがあり、味わいはまろやかであり、官能評価の評点も高い。


テイスティングの感想と今後の期待
実際に初披露された日本ワインサミットにJVAとしても参加させていただきましたので、栽培情報だけでなくテイスティングの情報についてもお伝えさせていただきます。
今回、テイスティングに供出されたワイン、ブドウの前提は以下の通り。
・2018年に植樹したブドウから38kgの小仕込み。
・糖度は19度。pH3.37。酒石酸5g。8/24に収穫。
・36Lステンレスタンクを使用し25℃で発酵、並行してMLF実施。プレスして25日後に発酵完全停止。
・ベントナイトで濾過、冷却してリリース。
このワインに関する当日のパネラーのコメントは以下の通り。
・都農ワイン赤尾さん:ビジュノワールも宮崎では8/25に収穫なので、それより早いのはいい。
・元酒類総研後藤さん:色が非常にキレイに出ている。ピノ・ノワール×メルローでメルローより色が濃くなるというのが面白い。
・高畠ワイナリー松田さん:フェノールはあるが、タンニンは優しい。そこがビジュノワールとは大きく違うと感じた。
以下、JVAスタッフのテイスティングコメントになります。
・ダークチェリー、スミレ、バラ、土っぽいグリーンノート。
・甘やかな香りが中心。少しスパイシーなニュアンスが出るともっと品種としての幅が出そう。
・尖った酸はないが、滑らかな酸を保持している。
・口当たりがよく、滑らか。細やかなタンニン。
・余韻はそこまで長くなく試験醸造段階ではシンプルな印象を受けたので、栽培醸造で一工夫持たせらえると非常に面白そう。
以上、新品種ソワノワールのご紹介でした。
現時点ではJVAで国内の苗木(甲州やMBA含む)を取り扱う予定は立っておりませんが、ニーズを調査しつつ取り扱いを検討していきたいと考えています。
これまでのビジュノワールなども含めて、日本ワインの幅を拡げてくれるのが「開発品種」だと思いますので、「ソワノワール」についてもご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。(JVAから果樹試験場にお繋ぎいたします)。
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